夢見心地☆神様が助けてくれる瞬間 ★19#0032

hiroba 夢見空間

私は、いまノマド的生活(インターネット遊牧民)を目指している。そう思うようになったのは、彼女との付き合いの中で、そう思うようになった。
日本は、恐らく世界で一番いい国だろう。だが、先進国のトップリーディングの国でありながら、貧しい人々がいる。私もその一人だ。

2年半ほど前にネット販売で躓いてからは、苦しい状態を余儀なくされている。
ある程度、そういう子をどこかで感じ取ってはいたが、何とかなるという甘い見通しもあった。結果、ズルズルと、ネガティブな状態が、長びくことが現実化しだした。
もちろん、苦境に打ち砕かれているわけではない。

これも甘い見通しと言われれば、返す言葉もないが、必ず反転があることを確信していている。長く厳しい苦しい状態が続けば、これといった努力もなしに、いわゆる第三者から見たら、「アンタは運がいい!」という言葉で片付けられるようなその評価に値するような、思いがけない幸運が巡ってくることを、私は絶対的な意味で確信している。

なぜなら、不運続きの状態が続けば、いづれ幸運がやってくるのは、自然の摂理だからだ。でないと自然のバランスが取れない。自然というのは、一方に偏ることはできない。ブランコのように、向こうに大きく振れれば、今度は、こちらにも同じくらいに触れる。+(プラス)があれば、次はー(マイナス)があるのだ。そのまた逆を繰り返す。

そうして、バランスによる調和を求めるのが、自然の法則なのだから。

だがら、私自身のここ数年の苦境は、かなり大きなプラスの出来事が、早晩、やってくることを確信しているのだ。

そのときの幸運というのは、努力で勝ち取る必要がないもの。勝手に信じられないことが起きるのだ。

ところで、私は、不運続きではあるが、プライドもなにもなく、人に頭を下げて、やってきた。
必ず幸運を得たいから、人から馬鹿にされたり、年下の者から、人生のバランスを分かっていない説教されても、黙って、頭を下げてお願いしてきた。そんな中にあっても、ごく稀に、
これまで何度か、思わぬ出来事に助けられることがあった。
 
これまで、私自身は、自分がどんな仕事をしながら凌いできたかを伏せてきたが、隠すほどのこともないので、自白してしまおう。マンションの管理人だ。腰痛に悩み、右膝を痛めてしまった私に立ち仕事は現在できない。座り仕事と、たまに立ち仕事程度なら、熟せると考えた。

ネットビジネスの立て直しを考えつつ、小口でも安定収入を得ようと、午前中のパート仕事をしている。そこで起きた、不思議なタイミングであることが起きた。それをご紹介しよう。

マンションの管理人とはいえ、多少のエントランスなどの簡単掃除やゴミの整理、ゴミ出しなどの仕事もある。それは全体の時間の中の20パーセント程度だ。後は座り仕事だ。
マンションと言えば、賃貸者もいれば、区分所有者がいる。私のマンションは、4:6の割合だ。

当然、賃貸者の引っ越しが、毎年数件ほどある。少ないが、区分所有者も引っ越しがある。
あるとき、中層階の方の入居があった。初老の女性一人だ。

この方、若いときは、それなりに美人の部類だったかもしれないが、そんな風貌をしている。しかし、どこか奇妙な人で、実はお嬢様だったのかという解釈をすると、何となく理解できる部分がある。ただし、今の時代、個人情報のなんとかで、そんなことを聞く子もできないし、
聞くつもりもない。管理員は、人様のことに首を突っ込まない方がいいと理解している。

私は、それに徹している。居住者が私に感心をしめし、話しかけてきて、相手が個人情報に関することを言ってきても、こちらはただ聞くのみで、質問はしない。私はそうしてきた。
私は、そのご婦人が、どうも奇妙でならなかった。

とにかく、まず特徴的なのは、大きな眼鏡で、それが全くに合わない。に会っていないのだ。
しかも、あまりに頓珍漢な質問ばかりしてくるので、正直、相手にしたくなかった。黒づくめの喪服みたいな服を毎日着ており、何を考えているか、おぞましかった。その不釣り合いな妙な眼鏡のせいで、私は、話しかけられると、一時期、ちょっとゾッとしたくらいだった。

その風貌からいうと、まるで横溝正史の作品「金田一耕助の探偵シリーズ」の映画などで、カメラ前に立ち、大きな声で、「タタリじゃあ」とカメラを飲み込みそうな表情でいうあの奇妙な老婆のように思えた。変な人が来たな…といのが、「参ったな…」が、私の印象だった。一部始終が、防犯カメラで見えていたせいもある。

ある時のことだ。7月の下旬頃のことだ。私は、かなり生活費に困っていた。毎日どうしようと、常に悩んでいた。いくら考えても、ロクな考えは浮かばない。支払いに対する、工面ができないとか、生活費の余裕がないとか、気持ちが暗かった。早くこの不運の波のこの時期が、終わってほしいと願うばかりだった。

私は、ゴミ置き場を整理しながら、どこか自暴自棄な気分でいた。そこに、件のご婦人が現れた。「えー。何…?妙なこと言わないでほしい」と、心の中で願った。
この方、引っ越してきてから、ほぼ毎日にように、私に質問してくるのだ。面倒くさかった。

例えばそれ以前にあった。こんなことがあった。

マンションなので、施設管理としてエレベーター・メーカーによる点検などが数か月に1度ある。実は、重要なチェックがあるということで、そのときは、一日がかりでエレベータがストップするという知らせを受けていた。

これに対して、そのご婦人の私への問いかけは、
「エレベーター動かないですか…」
「はい。お知らせしたとおりで。」
「じゃあ、(エレベータが一日止まるなんて)私は、どうすれば…」という質問受けた。

さすがに私は、それは、
「ご自身でお考え下さい。そのためにかなり前からお知らせしているので。」
「階段はあるんですか?」
「はい、外に…」
ここはエントランスなので、そこに階段はないのに、エレベータの横あたりを見渡している。
やれ、やれ。何を見ているの、この人…。頓珍漢すぎるよ。と思った。
「いや、外です。共用通路の横にありますよ。」
キョトンとしている。
「ご覧になったことないんですか?」

ちょっと待てよ。この人、引っ越してきてから、すでに、3週間くらいになるけど、
どれほど、無関心なんだよと、心で思った。
そんなことがあった。

ほぼ、そうしたことに類するような質問が多いので、面倒に感じていた。
それと、奇妙な眼鏡。この場で、「タタリじゃあ」と言いそうで、
私は、恐る恐るの感じで、いつも対応していた。

話を元に戻すが、そのある時、
そのご婦人が、私に小さな封筒の包みを出して、こういったのだ。
「お中元です!わずかですけど…」
「はあ…、あぁ…、はい。え、これいただけるんですか…。」
「ほんのわずかですが…」
と包みをいただいた。受け取るとすぐ出て行った。

正直、「千円ぐらいのお小遣いだろう…」と、
それでも、この時の私にはありがたかった。良くて2千円…。
と、胸算用していた。
ゴミ袋の整理をしながら、それが終わって、事務所で、中味を見て驚いた。
「えー、5千円!」も入っている。すごく助かった。
思わず、ガッツポーズした。
私は小躍りするくらい、喜んだ。ここ数日、ロクなものを食べていなかったので。
多少の生活費になると思った。

このときから、この奇妙なおばさんが、良い人になりつつあった。
管理員として、誰かに、たまに頂き物をすることはある。
そのほとんどが、
引っ越しのあいさつに、
お茶菓子だ。1000円程度のもの、あるいは良くて2000円程度のもの。
それでもありがたい。すごくありがたい。

それが、いま私が欲しい現金が入っていたとき、神の采配だと感じた。

どこから、そういう思いがけないことがやってくるかは、
本当にわからないものだと感じた瞬間だった。

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