子どもの頃、憧れた童話がある。ヘンゼルとグレーテルの「お菓子の家」の話だ。遠い昔のことなので、ほとんど内容は覚えていないが、森の中で、彷徨って「お菓子の家」を見つけるという、
非常に大雑把に言えば、そんな話だったように思う。もちろん、何らかの展開があったはずだが、覚えていない。それは、この話の中で、どうでもよくて、あえて調べようともしなかった。
とにかく、
私は、子どもの頃、お菓子の家が好きで憧れだったのだ。
森の中に行けば、お菓子の家があるのではと、小さい頃、本気で思っていた。
その影響もあるのだろう。事実、後年の私はお菓子好きで、いまだに甘党だ。
それと、もうひとつの憧れがあった。
宝の在りかを示す地図だ。おそらく海賊ものの絵本のようなものを見て、
その絵本の終わりに、宝箱から溢れ、こぼれた金銀や宝石などが黄金に輝く宝のビジュアルが、
とても印象的で、私の気持ちをいまでも、巨富への夢へと誘っている。
すべては、幼年期、少年期の貧しさの遥か対極にあるものを、子ども心にも欲しいと願い感じていたのかもしれない。当時、幼年時代だった私が手にできたものは、
クリスマスの季節に売られていた銀紙仕立てのブーツの中に入ったお菓子だ。
その中には、不二家のミルキーの赤いぺこちゃんのパッケージか何かが入っていたように思う。
全体で高さ10cmほどの一番小さな銀のブーツだ。それでも私には充分だった。
遠い遠い昔のことなのに、今でもよく覚えている。
大森のある地区の小さな商店街だ。ジングルベルの歌が、流れている。その時期は、いつもと何かが違うのだろうとぼんやり感じていた。商店街全体が、買い物客を煽るように、どこか浮き立っていた。その一角のスーパーの店頭に、数個がひとかたまりのあの銀のブーツが天井から、ぶら下がっている。
ハダカ電球が、飾り付けのあいだを縫うように、そこかしこで、
ギラギラ光っている。オレンジ色の光がまぶしかった。
その店には、ブーツ以外のサンタ絡みのお菓子やそれ以外にも
たくさんのお菓子にあふれていた。
今思えば、
恐らくギリギリの生活のはずなのに、
母の背にすがる私に、せめてもの思いを寄せて買ってくれたものだと思う。
きっと、年の瀬のクリスマスソングは、
生活苦に喘ぐ母にとっては、プレッシャーだったに違いない。
そうした幼年期にあった後の私は、冒険にこそ出なかったが、
それでも、私の心の隅には、
いつも「宝の地図」が欲しいと思っていた。
冒険に出なかったのは、
普通に生きることが、人として望ましく、
そうあるべきだと教え込まれ、信じていたからかもしれない。
一方で、 世の中全体の暮らしのレベルは、どんどん豊かさの方へシフトし、
大きく変わっていても、私の母の生活は、身入りの少ない苦労ばかりを多く強いられた
人生だった。私は、そう感じている。
国が豊かになるという世の中の再配分のおこぼれは、母にはほとんど縁がなかった。
私は私で、いろいろな思いが交錯し、屈折し、映像の世界へ向った。
フリーでの仕事も長く続け、そこから自由に様々な思いを抱くことにもなった。
その中で、成功法則というものがあることを知った。
最初の入口は、本田健氏の「ユダヤ人大富豪の教え」だった。
プロセスの中で「引き寄せの法則」を知った。
それから数年、いろいろ本を読み、トランサーフィンと出会った。
そこに辿り着く前に私は、「宝の地図」の創りかたというものがあると知った。
かつて、私が探し求めていたものだ。
そして、分かったことがある。 宝の地図の在りかを知る事ができたのだ。
どこか他の場所を探すべきではないこと。それは、私たち自身の中にあるということを。
トランサーフィンシリーズの第1巻
「[振り子の法則] リアリティ・トランサーフィン」
(ヴァジム・ゼランド[著] ほおじろえいいち[監修] 須貝 正浩[訳] 徳間書店)
の中に、次の示唆がある。
「思考の方向性に目立った変化がなければ、あなたは人生ラインの同じラインを
居続けることになる。」
(前出: 「[振り子の法則] リアリティ・トランサーフィン」 p54より引用)
という。この示唆を私は、とても重視している。
もし、私たちが、望む人生ラインを踏みたいのであれば、私たちの中に活用がほとんど封印されている宝の地図を広げることが必要だ。
そのことをゼランド氏も、「スライド」と名づけてイメージングのパワーを説いている。
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