フィリピン・パブ☆私の誘いの思惑が当たる #11

フィリピン・パブ

ここでちょっと、脇道を逸れるが、映像の業界について、
少し語らせていただきたい。そこには、友人との妙な縁があるので。その顛末の背景を記したいので。

私が業界の端くれで仕事していた関係で、聞き及んでいたのは、
番組制作会社は、大変にキツイということだ。
下っ端の番組制作担当者は、朝から徹夜続きは、常識の世界。
ほとんど家には帰れないという。その場合は、
会社での寝泊まりが中心で、自分の時間など全くないと聞く。
そんな生活が、最低でも5年くらいは続くらしい。

芸能界の華やか一面の伝統的な下積み世界の暗部だ。

それでも、いわゆる3Kではないので、仕事への自負もあるし、
時代の寵児の前線にいる快感はあるので、やっていけるのだろう。

そして、もっと大変なのは、番組作りのためには、
ディレクターやプロデューサーらから、どんな無理難題が
いろいろ要求されるのだ。

あまり適切な例ではないが。象徴的に言えば、
撮影当日までに、「本物の宇宙人を連れてこい!」というような事にさえ要求される。
その要求に対して、下っ端の制作担当者は、一応は真面目に取り組むのだ。
そして、見つからなければ、
怒鳴られ「お前の段取りが悪いからだ」と、バカにされる。
そういう理不尽さが、ある世界でもある。

結局最後は、テロップやナレーションで、
「見つかりませんでした。」で締めくくるのだが。
最初から、それありきでは、企画が成立しない。
そのため時間つぶしのための、勿体付けた怪しい証拠で、番組を引っ張る。
それも、最後は「なんだ…」で終わるが。テレビの力は恐ろしい。
番組から目が離せない構成になっている。

もう少し、現実的に言えば、「真夏に、雪を降らせろ」だとか。

これらは、初めから無理だと分かっているので、
そうした話は基本的に頓挫する。

それでも、有名な映画の巨匠には、バカげた話が多い。
時代劇の1シーンで、フルショットの自然な風景の向こうに、
たまたま一軒家の人家が映りこむ。
それを監督が気に入らなけらば、画的に邪魔だから、
それをどかせろという。笑い話では、済まない。

こういった話は、映像の世界のどの分野でも、
一応は、よくある。時間も予算も限られた中で無茶振りされるのだ。

番組制作の下っ端は、人間扱いをされない。
照明部や撮影部、あるいは美術さんらから怒鳴られたりもする。
割の合わない仕事が多い。それでも、それを何とかしなければいけない。
「No」は、ない世界なのだ。

友人の辞めた理由は、分からないが。
そういう空気も嫌だったのだろうと思った。

私は、私で、5年ほどで、フリーの道を選択した。

その友人は、一時期、
有名なフランチャイズのコーヒー店で働くようになった。
これで、彼とは、映像世界では、繋がりが無くなったなと思ったものだ。

ところが、人生は面白い。

それから数年後に、
彼が、映像業界で有名な大手コンピュータグラフィックスの会社で
営業マンをやり、私が所属していた制作会社にも、
名刺を持って営業に現れたりした。
実際に、その後、CG(コンピュータ・グラフィックス)の制作物を
作ってもらったこともある。

さらに、数年後、自らが社長になって、私に会社を見に来いという。

それから、また数年後、しばらく彼とは、会う機会がなかったが。
再び、彼とは出会い、今度は、酒のみ友達となった。

私の妙案は、
彼に、フィリピンパブ通いを誘ってみることだった。
そして彼は、見事、乗ってきた。

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