【フィリピン訪問記】フィリピンからの帰国前日・マニラに向かう朝篇 2005年版 #19-0019

マニラ

まるでネオ・リアリズム時代の映画のよう

2005年12月の初旬にフィリピンに来て、早いものでほぼ一週間になる。明日は帰国だ。帰りたいというより、このまま居残りたいだった。竜宮城に来た浦島太郎のようなのんびりした日を過ごさせていただいた。すべては彼女のさりげない心遣いが働いていたのだ。素っ気ない態度で、ぶっきら棒な雰囲気の彼女だが、心は繊細だ。

彼女の繊細さは「マッチャン ダイジョブ」の言葉に隠されている。私が田舎暮らしに飽きている。あるいはつまらないのでないかとか。さらに目を惹くものが何もない。この田舎暮らしをどう思っているのかというような私への気分を伺う言葉なのだと思う。

当の私は常に感激しているのに。フィリピンの人々の情を感じて、ありがたく思っていたのだ。

すべては彼女のさりげない企画だった。そして、今日を最後に田舎を去る。午後にはマニラへ出発だ。彼女が、「カワ 二 イコウ」という。泳げる河原があるというのだ。すでに、昼食の料理は準備をしていたようだ。それを持って、河原で食事しようということになった。

そして、また驚いた。近所の子らも河原に行くと聞きつけてやってきた。小学生前の子らが、4-5人と大人も2-3人やってきた。彼女の田舎から、15分くらいの場所に小さな河原があるらしい。

私の胸が踊ったのは、バイクがけん引する農作業用のリアカーのようなものが用意されて、そこに小学生前の幼い子どもたちが乗り込んだ。まるで映画の1シーンのよう。ポエムだ。私の頭の中で、ダスティ・スプリングフィールドが歌う映画「風のささやき」の主題歌が聞こえてきた。私は慌ててこのシーンをカメラに収めたが、良い写真が取れなかったこと。さらに素材データを見失った。

子どもたちを乗せたバイクとリアカーは、すでに、向こうへ行ってしまった。私と彼女は、トライシクルで、別ルートで追い抜くことができた。遠い向こうの方で、子どもたちを乗せたバイクとリアカーの牽引車がトコトコとやってきた。2-30メートルの小高い山裾の下を走ってくるのが見えた。なんてドラマチックで可愛い光景なんだろう。

私は、感動で胸が詰まった。昔の映画でしか見たことのないそんな光景を見たからだ。

食事の支度と水遊び

子どもたちがはしゃいで手を振っている。もうそこまでやってきた。風景の一部になった私は、自然に笑顔になる。なんて素敵な一日の始まりだろう…。大人たちは、小高い場所の広場で火を起こしたり、シートを張って座る場所やら食事する場所を設えている。

子どもたちは、大人たちの許可をもらって、河原で水遊びだ。腰までの水が河原を埋め尽くす。そこそこの透明度で、私も泳いだ。子どもたちに何かがあってはいけないので、夢中になれないが楽しいの一言だ。こんな自由をフィリピンの人たちは、楽しむことができるのだと、心の豊かさに感激した。

子どもたちも、水の掛け合いっこをして、大はしゃぎだ。小さな幼児は、お姉ちゃんに抱かれて、泣いている子もいる。足元5センチに満たない水が怖いからだ。女の子たちは、泳ぐ子もいて、水から顔上げ、手で一生懸命に顔ぬぐっている。そのしぐさがなんともかわいい。

男の子はすぐに悪さをして、女の子に水をすくってかけている。女の子も負けじと男の子を追いかける。そんなどこにでもある光景が展開されている。水一つで、こんな生き生きした交流ができるのだ。

そうこうしているうちに、丘の上の大人たちが、呼んでいる。食事の支度ができたらしい。
子どもたちも急いで、河原から丘へ向かう。コーラーなどの飲み物がビニールの袋に入れられて、渡される。彼女がいくつかのタッパーに入れたおかずやらを披露する。お菓子もたくさんある。とても情緒的な2時間ほどの時間が過ぎた。

帰国のためにマニラへ


河原の水遊びから彼女の家に戻ったのは、昼前だ。いよいよ私たちは午後から出発だ。
私たちと言うのは、私と彼女と子ども二人。甥っ子と子供の面倒を見てくれる彼女と親しいおばさん。そしてワゴンの運転手と「2番目のオニイサン」だ。最初に、マニラの空港で私に同行してくれたメンバーだ。

ワゴン車はすでに、出発のために彼女の家の前に向きを変えて、荷を積みだしてくれている。私は、4人いるオニイサンたちに、お礼と挨拶をした。「サラマ・ポ」と握手。「see you again」を繰り返した。実際、2年後の2007年12月中旬にもお邪魔した。

☆フィリピンお役立ち情報・ひとくちメモ

フィリピン人の生活を楽しむ心の豊かさには感激する!?

彼女と出会って15年以上になるが、ほぼ毎日Skypeでお互いの消息を確かめ合っている。その中で感じるのは、フィリピン人は、楽しいことが好きだということだろう。彼女との毎日の会話で知ったことは、月に1-2回くらいの割で、どこかでカラオケをしている音がすることだ。

「どこかでカラオケ?」と尋ねると「ムコウ デ タンジョウビ ノ ヒトアル」という。
タンジョウビと言えば、カラオケが定番なのだ。朝からカラオケが始まる。しかも終日だ。特に彼女の4番目のオニイサンがカラオケが好きでよく出かける。下手だけど歌うことが好きだ。カラオケのレンタルは500ペソだそうだ。

彼女のファミリーも誰かが誕生日なら、カラオケの機材をレンタルする。歌い放題だとか。持ってきてくれて、セットしてくれるようだ。フィリピン人は、とてもカラオケ好きだ。

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