【フィリピン訪問記】見ている風景 #19-0002

現実について

マニラの水不足

恐らく日本人で、私ほどフィリピンの水不足について気になっていた者は、そう多くはないだろう。私がそれを知ったのは、彼女と毎日やり取りしているskypeでの会話から知ったのだ。3月上旬から中旬にかけての会話でのことだ。彼女の言葉によれば、マニラが深刻だというのだ。

そして、いよいよ彼女のPangasinanの片田舎でも、雨がほとんど降らず、田んぼなどの農作物に水不足などの影響で被害が出つつあるようだ。

この水不足は、3月下旬になっても、相変わらず雨が降らないということで、深刻度を増していた。さすがに、彼女の田舎は、お湿り程度は降ることもあるらしい。それでも、田んぼの作業を抱える人々には、深刻だった。

4月になっても、5月になっても、水不足状態だったらしい。特にマニラでは、雨が全く降らないらしい。やっと、15分、20分程度降った時もあるらしいが、それでは、水不足は解消しない。ドゥテルテ大統領も手を打っていたが、決め手に欠いたようだ。そもそも水不足だけでない、政府の対策は、社会インフラが乏しいという力不足でもあったのだ。

気まぐれなエルニーニョ

水不足の原因は、エルニーニョ現象によるものらしい。気候を乱すエルニーニョ現象は10年前にも、フィリピンで水不足を引き起こしたという。加えて人工の増加と、インフラの整備が不十分なことが被害を大きくしていたらしい。

私が、初めてフィリピンに行ったときは、2005年の12月13日だった。クリスマスまで跨ぎ滞在したかったが、旅費の関係でそうはいかなかった。その後数回にわたり、フィリピンに行ったが、その時、最も気になったものの一つに、インフラの問題があった。彼女のマニラの実家は、Navotasという貧困層の多い地域にあった。

私が気になったのは、水道に蛇口がなく水が出っぱなしなことだった。路地というより、家と家の壁の隙間の道を潜り抜けて、彼女の小さな実家があった。安っぽい木戸を潜って数メートルほど行くと、玄関のドアがある。その途中に排水溝や水回りがあるのだ。水回り…?

透明度の高い水だが、水は飲んではだめだという。その水が、ホースからとくとくと流れ出ている。大きなタライの縁にホースの先端を載せて、常に満水になるよう水を張っている。そのいわゆるホースには蛇口がない。全くの垂れ流しなのだ。これがこの国の現状でもあるのだなと感慨に耽ったものだ。

いまフィリピンの水不足な状態を聞くとき、その垂れ流しな状態との対比の矛盾が複雑な思いを抱かせたものだ。

乏しいインフラ

フィリピンでは、特に水回りのインフラが遅れている。厳しい状態にある。初めてフィリピンに行ったこの年の最終日前日(12月16日)にパサイのB級のホテルに彼女と子どもたちと宿泊した時のことを思い出す。私の不満は、ホテルなのに、水の出が悪いことだった。とにかく水の出が細い。水に勢いがない。そして、排水にも時間がかかるという現状を体験したことだ。

ホテルは、1泊3000ペソ弱(当時のレートで6000円程度の部屋代)だったが、どこか物悲しかったことを覚えている。でも彼女は、この国では、それを普通のことのように受け止めていた。もちろん、そんな状態で、シャワーなど十分に使うことはできない。お湯のマークがあっても、お湯もほとんど出ない。 後で知ったが、 宿泊した部屋は特に水道の状態がよくなかったらしい…が。

フィリピンでは、基本的に風呂に入る習慣がないので、ホテルにバスタブがない。一部の高級ホテルなら、こういったことはないらしいが。B級ホテルでは、これが標準なようだ。

単なる水不足という体験ではない

今回の連続3ヵ月も続く水不足と断水は、フィリピンの経済に相当なダメージがあるはずだ。フィリピンの繁華街に行けば、気づくと思うが、いろんな食べ物の小さな屋台がいくつも出ている。好き嫌いの多い私には、ちょっと口にできそうにない馴染みのないものも多数売られている。

その小さな屋台を営む彼らにとって、水不足は、営業にかなりのダメージを与えたはずだ。衛生面も問題になるだろう。貧しい上に、営業上の追い打ちをかけるような今回の事態は、どうか彼らに豊かさをもたらしてほしいという願いと祈りで私の心を塞ぐものがあった。

ところで、このフィリピンの水不足の一件は、偶発的に起きたものではないと思っている。そこをあえて言うなら、私自身の事業が思いがけない厳しい場面と状態になった事と決して無縁ではないと思っているということを意味している。

私の事業の躓きは、およそ3年前から起きだしたものだが。今回のフィリピンの水不足の一件は、実は、深い意識下でリンクしていると思っている。つまり私自身の身の上に起きた躓きと、フィリピンの水不足は、全く無関係なようでいながら、実は、深い繋がりと形而上学的なメッセージが投映されたものだ感じている。いま改めてその思いが深まった。

無理にこじつけようとしているのではない。カタチと場所を変えて、不足というものについて、目に見えない存在が、なんらかのメッセージを私に示唆しているのだと感じているのだ。つまり冒頭で書いたように、およそフィリピンの水不足について、思いを馳せた日本人がどれほどいるだろうか。そう投げかけさせていただいた。

これは、私の心および経済的な不足の状態を、カタチを変えてフィリピンの現実のその状態にフォーカスを向けさせられたということなのだろう。

すべては私自身の形而上学的なシナリオの選択によるものだと思っている。形而上学的なシナリオとは、無限に連なるアカシックレコードのようなものを指している。そこで選択は、すべて意識上のフォーカスによってなされているものだが。何らかの理由で、私は、こうした不足を感じるフィールドをいま体験しているのだと悟っている。

☆フィリピンお役立ち情報・ひとくちメモ

ホテル選びは事前にきちん調べておいた方がいい!

[su_note note_color=”#fffad9″ radius=”6″] フィリピンで驚くのは、ホテル代が結構安いことだ。2000ペソ(日本円で、ほぼ4300円程度)でも、ちゃんとしたホテルに宿泊できる。ただし、ホテルと言っても、水回りは、部屋に入ってからすぐに、確認した方が良い。最近の新しいホテルは、お粗末なところは少ないと思うが、稀に築年数20年以上のホテルは、水回りが怪しいと思った方がいいだろう。

また、Pasayには、名前は伏せるが日本人のオーナーのホテルもあるようで。そこは日本人らしい気遣いのある安心なホテルのようだ。料金も若干高めだが。[/su_note]

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