彼女の差し入れのわがままは、ときどき、限度を超えることも多い。
マクドナルドより、モスバーガーが好きなのだ。
で、照り焼きバーガーは、モスバーガーにして欲しいという。
それでも、仕方がないので、モスバーガーを差し入れで持っていくことも、
数度あった。
ピナの入れ替えも、相応に繰り返される。このインパクトで顔の女性たちは、
よほど、指名がついているのか。変わらずにいる。
その他の６－７人が常に変わっている。
そんなあるとき、スタイルが良く、かなり美人のフィリピンで歌手だというピナが入ってきた。
歌手だということで、非常に歌がうまい。切なく歌うのが、胸を打つ。
あるとき、彼女のオンステージのようになって、
「Bakit ikaw pa(なぜ、あなたなの？)」を熱唱していた。
愛の歌だ。愛しく恋焦がれるあなたに対して、私の恋の相手が、なぜ、あなたなの？愛しい人よ
というような意味らしい。20年ぐら前に、流行った歌だという。
この歌を聞くと、なぜか、私の胸に応えた。
この日、私の傍に、指名の彼女が、いたときだ。
歌詞の意味はわからないのだが、とても切なく、目に涙があふれてくる。
自分でも、なんでだと思っているが。どうしようもなく、涙がこみあげてくるのだ。
それを見た、彼女が、「マッチャン ナンデ ナイテル」とからかわれたりした。
私には、ときどき、ちょっとしたいい話で、必要以上に、涙がこぼれてくるようなところがあって、それを見抜いた彼女が、ときどき、「マッチャン ナカナイデ」と、
いたずらっぽく、私の顔をのぞくことある。
そのためか、彼女は、面白半分に私を泣かせようと、「Bakit ikaw pa？」を聞かせることもあった。その狙いが分かっていたので、私は、平気だった。
彼女は、案外、指名がつくことがあった。
私以外に、数名、私のように、頻繁には、来ないが時折来て、指名する者もいたらしい。
そんなとき、
この美人歌手の「R」が、彼女が抜けているときに、ヘルプで付くこともあった。
あるとき、
私と彼女は、店が終わって、焼き肉やに行くことになった。お店が終わって二人で行くことは、
ほとんどない。２回くらいだろうか。
彼女が、掃除当番を誰かに代わってもらって、
外で待っていたところ、彼女の後ろから、その歌手の「R」が付いてきた。
彼女に言わせると、「アコ ヨンデナイ ケド…」
なぜか、「R」がそのまま、焼き肉屋に同席した。決して嫌な気がする感じのピナではないので、
そのまま受け入れた。
彼女も美人だが。この「R」も、ちょっと違うタイプの美人で、悪い気はしなかった。
どちらかと言えばタイプだったので、受け入れた。
彼女は、「ナンデ、R ガ ツイテキタカ ワカラナイ」とかで、
耳打ちしながら、少し怒っていた。
