ささやかな話を記述させていただきたい。どこにでもある。なぜ、そんなことをあえて問題にするのかと言われるような話(=「バカじゃないの?」と蔑まされるような話)だ。
その話は、
昨日の「ミッション・8ミニッツ」に因んだ話だ。
なぜ、このDVDを見ることになったかというと、
何かの動画を見たときに、「ミッション・8ミニッツ」の映画が面白いという
内容だったからだ。いわゆる釣られてのことだ。
それで、少し気になっていた。で、TUTAYAを覗いてみたのだ。
買い物を済ませ、この後も、何やかやとやることも多いな…と思いつつ、
レンタルするには、ちょっと躊躇いがあった。
というより、矛盾するが、恐らく借りないだろうと思いつつ、ただ寄ったのだ。
優柔不断という迷路にあえて飛び込んだ。
店内に並ぶDVDの背表紙を、一度目は、ざっと見たが、そのDVDが見当たらない。
どう探しても、
なかなか見当たらない。あちこちのコーナーを探す。
そこまでして、実は、
「借りないだろう…」と思いつつ…。見当たらないし、
仕方がないので、諦めて帰ろうかと思った。
そして、
また躊躇した。
そこで、今度は、検索機DVDタイトルを探すことにした。タイトル名があやふやだったので、
「8ミニッツ」で押す。すると、在庫があるという結果が出た。
どうせ借りない…。
借りないだろうと思っているのに、
プリントアウトまでして、再び、それを探した。
目的の場所は、すぐに分かったが。そこは、さっきあれほど探したコーナーだ。
見落としがあるのかな…と思う。
しかし…。やっぱり、そこにはない。
となりのコーナーも探すが、周辺には、やはりない。また同じ手順で、もう一度探す。
ない…。「……。」店員に聞けばすぐにわかるはずだ。しかし、借りるつもりがないので、
聞くまでもないと、また3回目4回目になるが、もう一度探す。やはりない。
この時に、ふと感じた。
「なぜ、見つからないのか…?」
その理由が、薄々分かってきたのだ。私は、前述のDVDを借りたくない。
借りたい気持ちもあるが、「借りないだろう…」と決めつけた気持ちで、
このDVDを探していた。実は、「だから、見つからなかった!」のだ。
はっきり言うと、本音で言えば、探したくないラインに私が固執し、
そこにずっと居たのだ。
自分のやっていることが、あまりに矛盾しているが、その気持ちで、探そうとしていたのだ。
したがって、そのラインに私が居る限り、見つからないと、心の深い部分で意識さえしていた。
この煮え切らない態度を一変させてくれたのが、
店員が近くで、作業し、返却されたばかりのDVDなどを棚に戻す音がしていた。
そして、身体を横に振ると、
目に前の棚のすぐ向こうに、店員がいた。
そこで、なぜか。
押されるように、店員に尋ねた。
その瞬間、ラインが変わった。シフトしたのだ。
見つからないラインと店員ならDVDのある場所を知っているはずのラインは、
ほとんど舞台装置が変わることはない。だけに、
この探しているDVDを見つけるラインは、見つからないラインとあまりに類似しており、
極めて微小な差しかないのだ。このいま状況の変化を、ラインの違いを明確に自覚することは、
難しい。それでも、あえて言うなら、
PCのペイントソフトのレイヤーのように、私のいま居るラインに、
店員の現れるシフトが、重なってきたのだ。私は、無意識にそのレイヤーのあるラインにシフトしていた。
私の言っていることは、大袈裟に受け取られているかもしれない。…どころか。
店員に聞けば、わかるのは「当たり前じゃないか!」と思われるだろう…。
それは、一面で正しい。しかし、この意味が汲み取れないというのは、
極めて、この意識世界の仕組みが、まるで認識できていない方の、通俗的、常識的な概念なのだ。
それでも、敢えて言おう。
私は、借りるつもりもないくせに探しているラインから、シフトしたのだ。
それが見つかるラインへ。
そのシフトへの移動は、
決意し、意図したことによるのだ。
それは現象として、私が、店員に尋ねるという行為となって現れた。
つまり、
若い女店員に、検索機で、プリントされた紙を渡して、
「これが見当たらないんだけど…」といって、一歩踏み出したことによる。
私は、ささやかなことだが、決意し、意図したのだ。
いまさら、その店員に、ただ、そのDVDがあるのを確認したかっただけなのだなどとは、
あまりにも言いづらくなった。これは大きな変化で、
決意し、意図したことで、私の煮え切らない態度にも、踏ん切りがついたのだ。変わったのだ。
借りるつもりじゃなかったのにだ。
そのDVDは、全く別の場所にあった。カウンター近くの準新作の範疇の中の、未整理な箇所の棚の中にあったのだ。
私は、あまりに、日常的な、何でもない出来事の中に、普通なら、
何をくだらないと思われるようなところに、
決意と意図が、すべてを左右しているということを感じた瞬間だった。
ヴァジム・ゼランド氏の著書「[願望実現の法則 リアリティ・トランサーフィン2]」(ヴァジム・ゼランド[著] ほおじろえいいち[監修] 須貝 正浩[訳] 徳間書店)
の冒頭のページに次の一言がある。
「願望を実現させるための秘訣は、願望と縁を切り、その代わりに、
意図、すなわち、”所有し行動する”決意を持つことである。」
という言葉を思い出していた。