(前回の続き)
「マスターの教え」(ジョン・マクドナルド著 山川紘矢・亜希子[訳] 飛鳥新社)の
12章は≪
その中の難解な箇所には、
「宇宙全体には、『一』というただ一つの数しかないのと同じように、
この宇宙に、ただ一つの『私』しか存在しません。」
(前出「マスターの教え」より引用)
というメッセージがあることをお伝えする。
この言葉の意味は、
誰にでもすぐに分かるだろう。
言葉自体は、とてもやさしい単語で構成されており、それ自体は何も難解ではないと思う。
しかし、数学的に理解しようと考えるとやや辛くなってくる。
だがこの言葉には、考えれば、考えるほどに秘められた思想が、
奥深く込められていると私は感じている。
私が、この「マスターの教え」12章のこの前後の文章を読んだ時は、
なんとなく分かった気になっていた。
それでも心の深いところで、何かが燻っていた。…どうしようもなく。
そして、この本の中のマスターも
「いま、すべてが分からなくても良いとしている。」
また、「無理に分かろうとする必要もない」と言っているのだが…。
著者が思いを込めたこの12章について、私が、ようやく理解を深め始めてきたのは、
R.W.トラインの著書「人生の扉をひらく『万能の鍵』」
(吉田 利子[訳] サンマーク出版)の導きによるところが大きい。
「宇宙の中心にある偉大な事実――それは、すべての背後には、
『無限の生命と力のスピリット』が働いていてすべてを動かし、
すべてを通じて、すべての中に現れているということである」
(前出「人生の扉をひらく『万能の鍵』」より引用)
さらに、
「わたしたちは、神から生命を授けられたのだし、いまも授けられている。
私たちは、神の一部なのだ。わたしたちと神は違うが、それはわたしたちが
個々のスピリットであるのに対し、神はわたしたちすべてもわたしたち以外の
すべても包み込む「無限のスピリット」であるからで、本質的には、
神の生命と人間の生命は同じひとつのものなのである。」
(前出「人生の扉をひらく『万能の鍵』」より引用)
と説いていることによる。
私は、この偉大なR.W.トラインの導きで、
心の深い部分の燻りが大きく溶解していくのを感じた。
「宇宙全体には、『一』というただ一つの数しかない」というのは、
R.W.トラインの指摘する意味において、
共通の”神と私たちは、ひとつである”という概念を示唆していると言える。
そして、
「この宇宙に、ただ一つの『私』しか存在しません。」と言うのも、
私 =(イコール) >> 神(私のその向こうに神があると言う意で)であるという概念を持ち込んだものだ。
この考え方は、宗教的な世界観の違いで、私たち日本人にとって、
やや理解しずらい点があるのかもしれない。
西欧には、旧約聖書、新約聖書とあり(それ以外の宗教思想もあるだろうが)、歴史的に西洋人は、細胞の一つ一つまでが、その西欧的な宗教観に慣れ親しんでいる。だが、私たち日本人は、東アジアの端くれの一員として仏教的な世界観の影響下にあるかもしれないが、敬虔なという意味では、歴史的に全体的にみれば無宗教、無信仰の傾向が比率として高い。
日本においては、宗教的な行事なら、何でも有りのところさえある。そうして、私たち日本人が風土的に体に沁み込んでいるものの世界観から、12章や、R.W.トラインの世界は、
「なるほどね。」と、
簡単には腑に落ちにくいのかもしれない。
これは、単なる直感的な私見であるが。
日向敏史の音楽に「ひとつぶの海」という曲があるが、
余談で言うと、私は、この幻想的な曲が好きで。
この「ひとつぶの海」に前述した「マスターの教え」12章やR.W.トラインの世界観を
当てはめると、とてもわかりやすくなると思う。
もちろん、「ひとつぶの海」はそれぞれの一粒一粒が私たちそのものだ。
そして、海は、神である「海」なのだ。
たとえ一粒の水滴でも、海と同じ成分で出来ている。
「ひとつぶの海」の「海」を「心」や「精神」に置き換えてみて欲しい。
大きな「心」または「精神」つまり、概念としての「心」や「精神」それが、
まさしく「神」だとして。
その上で、
この神と私たちがひとつだという概念が、なぜ重要なのか。
それは、私たちの心の内には無限の力を宿っているという
すべての考えの基本になるものがあるからである。
「マスターの教え」は本としては、実に読みやすく平易に書かれている。
だが、その奥に深いものが横溢しているので、何度、読んでも飽きない。
そればかりか、むしろ霊的な作用を受けている気にさえなる。もちろん、それは、個人差がある話だが。
R.W.トラインの著書なども併せて、読むとさらに深い理解ができるだろうと思う。
個人を越えた無限の宇宙の力≫だ。
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